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どんな患者さんが来ようが、「大丈夫です」と言ってあげたい。

カイロプラクティックオフィス Karakahl カラカウル

今増 心堂 先生


世界最大のセンターにちなんで命名。

理想のカイロプラクティックを目指す。


江崎:院名の「カラカウル」は、ウィンスコンシン州マウントホレブにある世界最大の治療施設であるガンステッド・カラカウル・カントリー・インにちなんでですか?


今増:そうなんです。うちはディバーシファイドがメインで、ガンステットをメインにしているわけではないのですが、いい言葉だなと思って…。ガンステッドさんはノルウェイ系の人なんですが、「カラカウル」は、ノルウェイ語で「心の疲れを置いていきましょう」という意味があるみたいなんですよ。僕はその言葉がすごく好きで。また、ホテルを建てたりエアポートを設けたり、総合的な治療院としても知られていますよね。そういう治療院にできたらな、と思って名づけました。


江崎:ある意味、哲学的なカイロドクターであるガンステッドさんの意志を継承する…という感じですね。


基本を疎かにしているとカイロプラクティックの

アイデンティティが失われてしまう。


江崎:先生からディバーシファイドをされるという話を伺って、実は意外に感じました。今、ディバーシファイドをされる方って少なくなっているように感じていますが、おいしいところ、つまり新しいテクニックから勉強できるようになって、基本の部分が抜けてしまっているような気がします。先生もブログで書かれていますが「カイロプラクターがきちんとカイロプラクティックをやっていない」ということがありますね。


今増:そうだと思います。カイロプラクティック治療院という看板を掲げながら実際にはカイロプラクティックを施術しているところが少ないような感じがしています。例えば、マッサージだけで終わってしまっているとか…。

カイロプラクティックってほんとうにすごいテクニックですし、修得が難しい分、修得できた時の達成感もすごいんですが、何かそれらが抜けはじめているというか、カイロプラクター自身が、基本であるアジャストメントのパワーや効果を知らないまま施術している感じがしますね。

僕は、アジャストメントの効果を疑って開発されたような新しいテクニックはない、と思っています。アジャストメントは出来て当然の基本で、それだけでは対応できない一部の患者さんに対して新しいテクニックをつくったのだと。

基本が出来ていない人は、新しいテクニックだけを見て、なぜそこに行き着いたかという部分がすっぽり抜けているんですよ。


江崎:先生の勉強会での反応はどうなんですか?


今増:「触診や整形外科的な検査をして、結果が出たら、それに合ったテクニックを選びましょう」といった基礎的なことを伝えるのですが、「あ、はじめて知りました」とか言って、びっくりされることが多いんですよ。同業者なのに。


江崎:そのあたりが、カイロプラクティックのアイデンティティを失わせているのかもしれませんね。



自分のテクニックに適した人を探すことが

なによりの経営努力となる。


江崎:治療と経営を別に考えている方がいらっしゃいますが、先生はどうお考えですか?


今増:もちろん両輪だと思っています。ただ、腕が良ければ人が来るとは思っていません。やっぱり経営努力、特に人に伝える努力はしないといけないと思っています。

もしかしたら世界一上手ければ、何もせずに患者さんが来るのかもしれない…。でも、知らないところには誰も行かないので、口コミするにしても口コミで広げてもらう努力はしないといけないですね。僕も今、ほとんど100%口コミなんですよ。でも、患者さんにお願いして、「同じような症状で悩んでらっしゃる方はいませんか?」と伝えてもらう努力はしています。


江崎:治療で良くなる患者さんがたくさんいらっしゃるからこそ院が成り立つというのが普通のことなんですけど、やっぱり苦しくなるといろんなものに飛びついてしまうことがほんとうに多いですね。


今増:人が減ってくると安売りをして数を戻すんだという考えの先生がすごく多くて。だからクーポン紙に掲載したり、キャンペーンで「この期間は安く受けられます」なんてことをするのですが。関西は特にマルチ商法に入ったり、物販に走ったり、ベクトルがずれていくケースがたくさん見られますね。僕は、それって何の経営努力もしていないと思うんですよ。そうじゃなくて、自分の持っているテクニックに適する人を探す努力が必要だと思っています。


江崎:院を継続させるために、そういうことに手を染めていくことが、ある意味正当化されてしまっているようにも感じます。最初の思いのようなものがどんどん削がれていくような…。


今増:そうそう、最初からそれをしたかったのか、ということは感じますね。カイロプラクティックといえば、100年にわたってアメリカで続いてきたわけじゃないですか。治らないわけがない。患者さんが治らないのは、修得できていない自分の未熟さがあるはずなんです。それがあまり理解されていないことが多々ありますね。


江崎:経営でもよく言われますけど「他人のせいには、すぐできる」ですよね。


今増:クーポン紙が悪かったとか、チラシを配ったけど来なかったとか言うんですけどね。



鬼気迫るような努力をするからこそ

カイロプラクティックの価値が認めてもらえる。


江崎:先生の勉強会には、どんな方が来られているのですか?


今増:やはりカイロプラクターが多いんですが、中には鍼灸師さんや柔道整体師さん、マッサージ師さんなど、いわゆる2980円のお店で働いているような方も勉強しに来てくれていますね。

そんな中、みなさんの悩みは競合店が多いということですね。でも、なにか、わざわざ競合しにいっているように感じるんですよ。僕は、「競合している」と思っている時点ですでに負けていると思うんですね。

カイロプラクティックの平均価格っていくらくらいかよく分からないんですが、例えばそれが6000円だとすると、それって2980円のお店と比べる価格ですらないじゃないですか。6000円でできることって、USJとかディズニーランドだと思うんですよ。これらの施設と同じくらいの感動とか、同じ額を払ってでもカイロプラクティックに行きたいと思ってもらえるくらいのテクニックを磨くとか、そういったところに特化していかないと、誰でもできるテクニックをやって2980円の価格に合わせていくと、当然負けていくと思うんです。

提供している側が、2980円の価値しかないと考えているのが腹立たしいんですよ。鍼灸だろうがオステオパシーだろうがマッサージだろうが、真剣にやっている人が提供している1時間は、2980円ではないだろうという思いがあって。鬼気迫るような努力をしている先生っているじゃないですか。それこそ古い先生たちって、ネットもなければ、セミナーもなくて、英文の本を必死で日本語に訳しながらひたすら勉強していて、そんな感覚にならないと思うんですね。「俺はこれほどやっているんだ」という自負や誇りがあると思うんですね。ところが今は、簡単に手に入る分、「その程度なんだ」という概念がカイロプラクター側にあるような気がします。


江崎:確かにそれはあるような気がしますね。ほんとうに「Easy Come Easy Go」ではないですけれど。


今増:結局、修得するところまでやっていないということなんだと思いますね。僕のところには、半年に1度、アメリカのシアトルから通ってくれている患者さんがいるんですよ。ご存知のようにアメリカにはDCと呼ばれるカイロドクターがいます。彼もシアトルのDCにかかっているんですが、「今増さんがいい」と通ってくれているんですね。帰省する時に来てくれるんですが、それってすごいお金がかかっているはずです。やはりアメリカのカイロプラクターよりもいいと言ってもらいたいなという思いはありますね。


江崎:ある古参の先生が嘆かれていたんですが、「なぜ、今の人は1回出ただけでできたと思えるんだろう」と。


今増:プロとして身につけなければならないテクニックが、そんなに簡単に修得できるはずありません。僕としては、そんなに簡単に修得できては困るんですね。例えば6時間のセミナーで修得できるなら、やっぱり2980円なんですよ。カイロプラクティックは、そうじゃないからこそ稼げるというか必要とされるわけで、難しい方がうれしいのですけれど、そうは感じられない人が多いんですね。


江崎:簡単に学べて、すぐにテクニックが身について、その日から使える…。そんなことありえませんね。やっぱりお金と時間を使ってやるからこそ、テクニックも磨かれていくのだろうし、だからこそ決して安売りはできないはずなんですけど…。



今増:設備もそうなんですが、いいベッドを使うとか、いい器具を使うとか、そういう考え方が必要なんだと思ってほしいですね。僕が開業の相談を受けたら、まず「設備を整えろ」ということを言っています。いい設備を整えるのは投資だ、という感覚を持った方がいいんです。自分が患者としてアジャストメントを受けに行ったとして、ポータブルベッドでされたら、ちょっと引くと思うんですよ。そして、自分の家族が痛めた時に、そこを紹介するか、というと決して紹介しないと思うんですね。やっぱり、ハイローベットがあったりとか、昇降式のものがあるというだけでも患者さんに安心感を持ってもらえると思うんです。


江崎:リスクを負いたくないという感覚ですかね。投資をするという感覚ではなく、設備を買うということが即リスクになる、お金を使ってしまったという行為になるみたいなんですね。



自信をもってカイロプラクティックの独自性を訴えれば

さまざまな医療との共存が図れるはず。


江崎:最近、カイロプラクティックの法制化に注目が集まっているようですね。


今増:やはり法制化してほしいですね。保険が使えなくてもいいので、カイロプラクターのレベルを揃えてほしいと思います。

例えばスターバックスなら、どの店に行っても同じレベルのコーヒーが出てくるみたいな認識があるんですが、カイロプラクティックという看板にはそういうことがまるでなくて、あの先生は良かったけれど、この先生だと痛めたとか、ほんとうに差がすごいんですね。残念ながら。


江崎:結局、一定基準を満たすのは難しいので、最低水準の底上げをしよう、という話が出てきたりしていますね。規制についての法制化は順調に進んでいきそうな状況ですが。医療との共存を図っていきたいものですね。


今増:でもね、カイロプラクターは、本来、医師と競合するような存在ではなて、ちゃんとカイロプラクティックの独自性を訴えるようなものすれば大丈夫なのに、「整形で治らなかったら来てください」などとヘンに整形外科と競合するような広告を打ったりする先生がいるから嫌われるわけで。僕には、整形外科や内科の医師の患者さんもいますし、紹介もいただけますし、共存はできると思うんですね。


江崎:人を治すという同じ方向を向いているはずなのに、それがどこかズレてケンカを売ってしまっている感じがしますね。


今増:なぜか、うちの業界は「競合」する相手を見つけたがる傾向があるんですよね。みんな、敵じゃないんですね。例えば、マッサージに行って治るならそれでいいんです。それを否定するからダメなんですよね。実際は、使い分けの問題だと思うんですね。すごく痛くて、マッサージでは治らないので来ましたという方が、アジャストメントを受けて良くなったら、また、マッサージに戻ったらいいんですよ。その時の使い分けでいいんです。僕だって、もみほぐしてほしい時もありますから。そんな時はマッサージに行けばいいし、しびれが取れないなんていう時はうちに来ればいいんです。多様化しているはずなのに、なぜかいっしょくたに競合店だと思い込んでいるみたいなんですね。

違う店があるということは、僕にとってはとてもありがたいことなんですよ。僕にはどうしようもない患者さんが来た時にそれを解決できるテクニックを持った先生が近くにいたら紹介することができますから。そう考えれば競合ではなく共存ができますものね。


江崎:本当はwinwinの関係がつくれるはずなんですけれど、なかなか先生のように考える人は少なくて…。



量は質を凌駕する。

儲けることが社会貢献につながる。


江崎:カイロプラクティックは善の行為で、患者さんからお金を取るなんてとんでもないことだと考えている先生がわりと多いように感じているんですが。


今増:僕も「稼ぐ」ということが「悪いこと」というような風潮があるような気がしています。もし、聖人君子になりたいのなら、0円でいっぱい呼ぶべきなんですよ。安くしても患者さんが来ない人と高くても患者さんが来る人であれば、患者さんが来る人の方が社会貢献できていると思っています。儲けるのが悪いというなら、無料にして日本一患者さんが来る院にしなければいけないと思いますね。 実際、「僕は、こじんまりと1日に数人、いいアジャストができたら、それで満足です」って言う先生って多いですね。でも、それは社会から必要とされていないんじゃないか、と僕は思ってしまいます。

よく「量より質」という話をされる方がいて、長時間かけて、じっくり検査をするのがいいみたいなことを言うのですが、個人的には「量は質を凌駕する」と思っています。1日5人を診る人と1日30人を診る人だったら、毎日30人の患者さんを診続けている方が上手くなるはずなんです。それで、最終的には質が上っていくはずなので、臆せず稼がないといけないと思うんですね。人に貢献するためには、この世の中は稼がないと生きていけないので…。


江崎:勉強するにも、設備を整えるにも、家賃を払うにも、原資が必要ですから。人は霞を食べて生きていくことはできません。自分が成長して貢献できるように利益をいただて、それを還元していくという考えを持ってやっていただけたらなと、すごく感じるんですけど。みなさん、せめぎ合いで悩まれますね。


今増:いっぱい来てもらって、いっぱいお金をもらった方がハッピーだと思うんですけどね。修業僧じゃないので、ね。そうすれば、もっといい設備にできたりとか、クライアントに役に立ったりとか…。私利私欲のために儲けを使うというふうに思っているから、稼ぐことに罪悪感を感じてしまうんじゃないでしょうか。逆に還元できると考えれば変わってくるんでしょうね。


江崎:いいベッドを入れたりとか、ほんとうにガンステットのクリニックみたいにエアポートをつくってもいいですし、ホテルを併設したりね。


今増:僕もバス停くらいなら、近くまで引いてこれそうですけどね(笑)。


カイロプラクティックは「道」。

決してゴールのない、修業の世界。


江崎:今、カイロプラクティックの目的や効果を忘れてしまっている先生が多いように感じています。そう考えると今増先生がブレることなく歩んで来られたのは、すごいことですよね。


今増:カイロプラクティックって、ほんとうはブレている暇なんてないなずなんです。どの職業もそうなんですけど。僕は、今29歳でカイロプラクティック歴10年ほど、多分80歳くらいまで生きるんじゃないかと思っているんですが、人生があと50年しかないと思うと、自分が理想とするカイロプラクティックを究めるのに、まったく時間が足りないんです。江戸時代の絵師の葛飾北斎は70歳で富嶽三十六景を描いて世に認められたんですが、90歳で亡くなる時に「あと10年あったら本物の絵師になれたのに…」と言い残したそうなんですよ。こういう人ってカッコいいなぁと思います。理想を追い求めるとブレている暇なんて全然なくて…。もっと上手くなりたいですからね。 で、僕の理想のカイロプラクティックですが、アジャストメントに関しては、患者さんが、いつされたか分からないくらい自然に治せたらいいなと思っています。知らない内に、ポンと入っているような…そんな施術がしたいなと思っているんです。


江崎:秘孔を突く北斗の拳のケンシロウみたいな感じですね。「お前はすでに治っている…」(笑)。


今増:やっぱり患者さんに対しては日本一のつもりで施術しています。うちに来てくださった患者さんって僕に頼るしかないわけでしょ。そんな患者さんには、「僕は日本一上手いカイロプラクターだ」という姿勢で向き合うようにしています。それが患者さんの不安を消す事につながると思うんですよ。

そうするためには、毎日勉強していないと僕自身が不安なんですよ。例えば、僕の一番大切な人が紹介でやって来たとしたら、最高のテクニックを提供したいと思うはずなんですね。でも、この人の症状はまだ勉強できていないなんてことになったら、辛すぎるじゃないですか。

かつて、妊婦さんの施術を断ったことがあるんです。経験が浅くて、設備も整っていなかったというのが理由なのですが、同じ轍は二度と踏みたくないなと思っています。今は、どんな患者さんが来ようが、「大丈夫です」と言ってあげたいんです。

   

江崎:結局、そういった向上心が、顧客満足につながっていきますよね。そして、満足した患者さんはリピーターになるとともに、次の患者さんを呼んでくるというプラスの連鎖が起こっていきますね。


今増:そうですね。僕は、3年間ほとんど広告を打たずに口コミだけで予約がある程度うまっているので、顧客満足度は、結構高い方だと思っているんですが。 江崎:先生が、気持ちと思いを持って治療に当たられているということが、患者さんにとって安心感があると思いますし、病は気からじゃないですが、パワーをもらうこともできるし、顧客満足の点では大きな影響があるんじゃないかと、今、お話を伺っていて感じました。 今増:そこしかないかもしれませんね。まだまだ若くて、未熟だと思っているので、思いでカバーするしかないというか、大事にしていますね。


江崎:ある意味、職人さんみたいですね。


今増:そうですね。職人気質を目指していますね。カイロプラクティックは「道」なんだと思います。生き方だな、と。決してゴールがありませんからね。だから、楽しいのですが。ゴールが見えてしまうと飽きてしまいますから。


江崎:一生、切磋琢磨みたいな。



まるでアスリートのように。

後進を育て、自らも切磋琢磨していきたい。


江崎:これから先生が目指されるところをお聞かせください。


今増:ひとつは、同業者への啓蒙活動をしていきたいということですね。勉強会なども開催しているんですが、カイロプラクターがカイロプラクティックを好きになれるような活動をしていきたいと思っています。もうひとつは、どんな患者さんが来られても「大丈夫ですよ」と言えるようなテクニックや設備を整えたいと考えています。


江崎:まるで道を究めるアスリートみたいですね。


今増:そうですね。自分自身、アスリートだと考えています。常に「もう一歩先を」ということを意識し、テクニックを磨き続けていきたいものです。 あと、カイロって、どちらかというと「メンテナンス業」じゃないかと思っているんです。溜まった歪みを整えて、きれいにするみたいなイメージ。この考えをベースに活動していけたらなと思っています。


江崎:素晴らしいビジョンをお持ちですね。これからもカイロプラクティックの世界を引っぱっていく若きリーダーとして活躍し続けてください。本日は、お忙しい中、ありがとうございました。


今増:こちらこそ、ありがとうございました。

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